このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

飼料用米の利用に関するQ&A

  • 印刷
よくある質問
飼料用米の利用に初めて取り組む方やこれから飼料用米に取り組みたいと考えている方の質問にお答えします。

飼料用米の利用に関するQ&A

1. 飼料用米は家畜にとってどのような飼料ですか。
飼料用米は、水田を活用して生産できる優れた飼料です。
現在、玄米の形態で利用されることが多いですが、玄米と家畜飼料として広く用いられているともろこしを比べるとほぼ同等の栄養価(表1)で、家畜にとって優れたエネルギー供給源となります。このため、畜種毎に留意した上で(Q3参照)、とうもろこしの代わりに一定割合の給与ができます。
(表1)
(単位:%) 
 
粗たんぱく質
可溶無窒素物
 TDN  
とうもろこし
7.6
71.3
80.0
80.8
77.8
玄米
7.5
72.9
80.9
82.0
80.3

 

資料:日本標準飼料成分(2009年版)参照

注1:可溶無窒素物には、デンプン等の糖類が含まれます。

注2:TDN(Total Digestable Nutrients):可消化養分総量は、飼料の栄養価の指標となるものです。

 

2.畜産農家にとって、飼料用米を利用するメリットは何ですか。
現在、飼料用米を利用している畜産農家の方々からは、次のようなメリットがあると報告されています。
  1.  地元の米を利用していることがアピールできる。また、品質が良くなったり、特徴が出たりすることから畜産物のブランド化をすることができた。
  2. 飼料用米の生産に応じて、堆肥の供給を行うようになり、ふん尿処理が楽になった。
  3. 水田活用を通して地域の活性化に貢献できて感謝されている。地域との結びつきが出てきたことに伴い、畜舎の臭いや出荷の騒音などに対する苦情が減った。
これ以外にも、海外のとうもろこし相場に左右されることのない国産穀物を入手でき、経営の安定に寄与しているなどのメリットを報告する畜産農家の方もいます。

 

3.飼料用米はどのくらい家畜に給与できますか。また、留意点があれば教えてください。
(牛)
  1. 給与方法や栄養価に十分注意すれば、配合飼料の20 %程度まで、とうもろこしから飼料用米に置き換えることができると考えられます。加工した飼料用米は消化速度が速いことなどから、多給すると消化器の障害であるルーメンアシドーシス(注1)を起こす可能性があります。飼料の切り替えを注意深く行ったり、粗飼料を十分に給与したりして、発生を防止しましょう。
  2. また、乳用牛では配合飼料の10 %程度、肉用牛では配合飼料の3 %程度までであれば、家畜の生理や生産物に影響を与えることなく置き換えることができます。
  3. なお、破砕や粉砕、蒸気圧ぺんなどの加工をすることで消化がよくなります。一般的に2 mm程度以下に破砕するとよいとされています。(豚も同様です)
(注1)ルーメンアシドーシスとは、穀物類を多量に食べることによりルーメン(第1胃)内が急激に酸性化し、正常な消化・吸収ができない状態。
 
(豚)
給与方法や栄養価に十分注意すれば、配合飼料の30 %程度まで、とうもろこしから飼料用米に置き換えることができると考えられていますが、配合飼料の15 %程度までであれば、家畜の生理や生産物に影響を与えることなく置き換えることができます。
 
(鶏)
とうもろこしの全量を飼料用米に置き換えることができますが、飼料用米の割合が高まるにつれて卵黄や肉の色が薄くなります。採卵鶏では配合飼料の20 %程度まで、ブロイラーでは配合飼料の50 %程度までであれば、生産物に影響を与えることなく置き換えることができます。なお、籾米のままの給与ができますが、玄米と比べて栄養価が下がるので注意してください。
 
(各畜種共通)
飼料用米を多く給与する場合には、細かい飼料設計や配合割合、給与方法については、専門家や普及センターなどにご相談ください。

 

4.  新たに飼料用米を利用したいけれど、どこで入手できますか。
  1. 飼料用米を入手する方法としては、地域の耕種農家と話し合って直接購入する方法や、農協等が出荷したものを購入する方法などがあります。
  2. 地域農業再生協議会(注2)では、地域の飼料用米の作付計画を、都道府県では、飼料用米の利用要望のある畜産農家のリストを取りまとめています。これらの情報を共有するなど地域で連携し、マッチング活動を行っていますので飼料用米を利用したい方は、まずは都道府県の畜産担当窓口にご相談ください。
  3. このほか、あらかじめ飼料用米を配合した飼料を販売している飼料メーカーもありますので、詳しくは、飼料販売業者にご相談ください。
(注2)地域農業再生協議会とは、各市町村や農業者団体が構成員となり、地域の実情に応じて、水田等の利活用を推進している協議会です。飼料用米の作付計画の取りまとめや交付金の手続きなどを行っています。

 

 

5.飼料用米の利用を拡大していきたいけれど、保管施設や粉砕等に必要な機械に対する支援にはどのようなものがありますか。
1. 畜産農家が飼料用米を利用するために必要な機械の導入や施設の整備については、次の事業が活用できます。
(ア)強い農業づくり交付金(平成30年度)
飼料用米の利用に必要な調製・保管施設の整備等を支援します。
(イ)畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業(平成29年度補正)
畜産クラスター計画に位置づけられた地域の中心的な経営体が飼料用米の保管・加工・給餌等に必要な機械の導入や調製・保管施設整備等を支援します。


2.  なお、事業ごとに要件が定められているため、活用にあたり地方農政局(北海道農政事務所、沖縄総合事務局を含む。)又は都道府県の窓口にご相談ください。

 

   

6.飼料用米を扱う場合、横流れ防止の措置が求められると聞きましたが、畜産農家はどのようなことが必要となりますか。

畜産農家において飼料用米の主食用米への横流れ防止の措置として、以下が求められます。いずれも簡単な作業ですので確実に実施してください。
  • 誓約書の提出
飼料用米を使用する畜産農家は、買い受けた飼料用米を主食用に転用しないことを誓約した「誓約書」を稲作農家に生産年の6月30日までに提出してください。
様式は、以下のHPからダウンロードできます。また、地方農政局、地域センターでも配布しています。
  • 主食用米等との区分保管・管理
飼料用米を保管する場合には、飼料用米の入った紙袋やフレコンバック等にはい票箋で用途を定められた方法で表示し、他の用途と明確に区分して管理してください。
定められた数量を出荷しなかったり、適正な管理・保管を行わなかった場合など、不適切な流通があった場合は食糧法に基づき罰則が適用されます。
 
  • 飼料用米の入荷・購入・移動・廃棄等の記録の保管
飼料用米の入荷・購入・移動・廃棄等を行った場合には、その記録を作成し、3年間保存する必要があります。
記録の虚偽記載等の義務違反があった場合には、米トレーサビリティ法に基づき罰則が適用されます。
 
詳しくは、以下のHPをご確認ください。

お問合せ先

畜産局飼料課

担当者:飼料生産振興班
代表:03-3502-8111(内線4916)
ダイヤルイン:03-3502-5993