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農林水産省

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事業者へのインタビュー:一正蒲鉾株式会社

sdgのロゴ 事業者へのインタビュー

一正蒲鉾株式会社
高山佳代子さん
インタビューで取り上げたSDGs
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   一正蒲鉾株式会社は、新潟市に本社をもち、かまぼこなどの水産練製品の製造販売と、まいたけの生産販売を展開しています。
   この度、企業のCSR活動とSDGsの取組について、同社広報・CSR推進室長の高山佳代子さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。

写真:経営企画部次長 広報・CSR推進室長  
高山佳代子さん
取材日:2019年1月31日
社是
「人生はやまびこである」「正しきことは正しく報われる」という創業者 野崎正平の信念を受け継ぎ、私たちは「誠実」「謙虚」「感謝」の心で、すべての方に幸せと喜びをお届けします。

一正蒲鉾のCSRの考え方はこちら
https://www.ichimasa.co.jp/corporate/co_guidance_community.asp[外部リンク]

SDGsが示す
経済・環境・社会のバランス

   当社は、誰も置き去りにしないというSDGsの概念に共感した社長自らが「従業員一人ひとりにとって働きがいのある企業となるためにも、企業としての社会的責任を果たすためにもSDGsに取り組む必要がある」と考え、トップダウンで取組を始めました。
   私はCSRの責任者として、SDGsの魅力は、その世界観だと思っています。SDGsを「一つの事象は全く関係がないと思われる場所・物事にも影響が及ぶ。したがって、一人ひとりが自分のこととして経済・環境・社会をバランスよく考える取組」と捉えています。経済成長だけではなく、地球環境が悪化している現代は環境と社会もバランスよくみていかなければ企業は存続していけません。SDGsはそのバランスを考える際の指標となるものと考えています。
   また、SDGsに取り組んでいると、ステークホルダーの皆さまだけでなく、より多くの皆さまや広く大きな世界と繋がっていると感じ、考えていくことができます。

自分たちでもできることがある

   SDGsへの取組では、まず、当社の企業活動が社会に対しどのように影響しているか、影響を受けているかを、17の目標に当てはめてみました。その際に、169のターゲットと230の指標や世界規模の問題についてはあまり意識しすぎないようにしました。
   例えば、目標4「教育」は「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」とあります。世界を思い浮かべると何から始めてよいのかなかなか思いつきませんが、地域の皆さまにはお役に立てるのではないかと考え、目標4「教育」の取組の一つとして「食育活動」をあげています。
   SDGsがわかりにくいのは、世界を意識しすぎると一企業としては限界を感じてしまうところではないかと考えています。そのため、「できることを、できるところから」と考えて取り組んでいます。

社会的責任を主軸にした
企業活動

   食品企業としての社会的責任に基づいた活動の一例として、食品ロス削減のために、賞味期限の延長に取り組んでいます。また、2018年8月から子ども食堂(※)に食材の提供をはじめました。同年12月には「フードバンクにいがた」と食材提供の同意書を取り交わしたところです。(※「子ども食堂」とは:子どもが一人でも入ることができる、地域に開かれた食堂)
   そして、お客さまに喜んでいただける商品を考えたときに、「健康」は取り組むべき社会課題であり、重要な価値のひとつです。当社では水産練製品の製造に欠かせない塩と高血圧や心疾患などとの関連性に着目し、「減塩」することでお客さまの健康的な食生活に貢献できると考えています。
   これらの企業活動は、当社がSDGsを意識する前から手がけていたものですが、今後、社内にSDGsの視点が定着することで、更なるイノベーションを起こし、新しい発想の商品開発に繋がることを楽しみにしています。

取組の紹介
賞味期限の延長
   廃棄される食品を削減するため、製品の賞味期限延長を可能とする技術開発に取り組んでいます。 「うなる美味しさ うな次郎」は2018年2月より、製造工程や包装形態を見直して賞味期限を従来の10日間から17日間に延長した「長持ちパック」を発売しました。この商品は、うなぎの蒲焼風水産練製品で、ニホンウナギの資源管理とうなぎの蒲焼き文化の継承に役立ちたいという当社の思いがこめられています。
うな次郎
いちまさのおいしい減塩
   当社は、業界に先駆けて「おいしい減塩」の研究・開発に取り組んできました。一般的な水産練製品と比較して大幅に減塩を実現し、「おいしさそのまま、塩分カット」のラインナップで、お客さまの豊かな食生活と健康寿命を応援しています。

サラダスティックさつま揚げ

貢献するSDGs
目標3のロゴ

「人生はやまびこである」
~従業員が報われる職場を目指して

   当社の社是は「人生はやまびこである」です。「正しきことは正しく報われる」企業でありたいと考え、ES(従業員満足度)ということが言われる前から、従業員の満足度を高める取組を行ってきました。

ちびっこランドでの食育クッキング
ちびっこランドでの食育クッキング

   1989年に開園した事業所内保育園「ちびっこランド」もその一つで、女性従業員が安心して働ける職場づくりをめざしたものです。かつてこの保育園に預けられていたお子さんが、大人になって当社に就職し、今は自分の子供を預けているという親子2代での利用者もいます。こうした長年の積み重ねの結果、「プラチナくるみん」認定(※)の新潟県第1号を取得しました。
   私個人も、学卒で入社以来、当社に勤務しており、働きながら、結婚・出産・子育て、親の介護等のライフイベントを全うできました。これは、ライフワークバランスを重視した働きやすい職場だからこそです。また当社は「責任と権限の明確化」のもと、自立した仕事を行える社風があり、働きがいもあります。会社に、人間として成長させていただいたことも感謝しています。

プラチナくるみん※「プラチナくるみん」とは:「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けた企業が、より高い基準を満たした場合、「優良な子育てサポート企業」として厚生労働大臣の特例認定(「プラチナくるみん認定」)を受けることができる制度。

ステークホルダーとともに

   食品メーカーは大きな変革の時期にあります。その要因の一つとして、昨年6月に公布された食品衛生法の一部改正によるHACCPの義務化があげられますが、当社はバリューチェーン全体が繋がってこそ真の価値を創造できると考えており、お取引先さまに対してHACCPの取得に向けた研修会を実施しています。その際、SDGsの視点も踏まえて安全安心に関する法令遵守や環境配慮の重要性についてお伝えし、ご理解とご協力をいただいています。
   社員への浸透も大きな課題です。まずSDGsを目にする機会を増やそうと、すべての事業所にSDGsに関する掲示を行っています。社内の「デジタルサイネージ」や「電子掲示板」での情報発信にも力を入れ、できるだけ取組の内容を理解し易いように、17の目標と関連付けて発信しています。また、会議などの際に、SDGsの考え方と当社の取組内容を繰り返し説明しています。
   さらに管理職以上の社員など約60名がSDGsバッジを常日頃から着用しており、社外においても自分の言葉でSDGsを語れるように努めているところです。

社内掲示
SDGsに関する社内掲示
デジタルサイネージの一例
デジタルサイネージの一例

一社の枠を超えて

   今後、SDGsに関してチャレンジしていきたいことは、環境への対応と地方自治体や研究機関との連携です。
   お取引先さまとのバリューチェーンの構築やガバナンスの強化に関しては以前から取り組んでおり、現在、更なる体制強化を図っていますが、環境に関する取組は、まだ緒に就いたばかりです。今回、農林水産省の「プラスチック資源循環アクション宣言」に参加させていただいたのもその一つですが、まだ自社内でできることしか取り組めていないと感じています。
一正蒲鉾のプラスチック資源循環
アクション宣言はこちら

https://www.maff.go.jp/j/plastic/attach/pdf/torikumi-45.pdf
    水産資源を基盤とする企業としては、中長期的にはお取引先さまと連携した持続可能な原料の調達が必要です。また、地方自治体とも連携して、本業から一歩踏み出した地域貢献ができればと考えています。

一正蒲鉾株式会社の皆様、
インタビューのご協力ありがとうございました。
※インタビューで扱った内容は
企業が取り組むSDGsの一部です。

お問合せ先

大臣官房 新事業・食品産業部 企画グループ

代表:03-3502-8111(内線4139)
ダイヤルイン:03-6744-2065