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農林水産省

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事業者へのインタビュー:日本マクドナルド株式会社

sdgのロゴ 事業者へのインタビュー

日本マクドナルド株式会社
宮下建治氏
写真:日本マクドナルド株式会社   
執行役員 宮下建治さん
インタビューで取り上げたSDGs
目標3のロゴ目標8のロゴ目標12のロゴ目標15のロゴ目標17のロゴ

   日本マクドナルド株式会社は、ハンバーガーを主力商品として展開するレストランチェーン「マクドナルド」を運営しています。
   お客様だけではなく、従業員、そして地域の皆さまに笑顔になっていただくことをマクドナルドの存在意義として掲げ、QSC&Vを基盤に、従業員一人ひとりがマクドナルドの価値観を理解、共感、体現することで、「おいしさとFeel-Goodなモーメントを、いつでもどこでもすべての人に。」お届けしています。

   この度、企業のCSR活動とSDGsの取組について、日本マクドナルド株式会社の執行役員 宮下建治さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。

取材日:2018年11月26日(日本マクドナルド株式会社本社にて)

マクドナルドのレストラン・ビジネスの考え方はこちら
https://www.mcdonalds.co.jp/company/outline/rinen/
[外部リンク]

更新情報
2021年4月9日最新情報に更新いたしました。

創業者の想いを理念とした
CSR活動とSDGs

   日本マクドナルド株式会社は、日本で50年以上事業活動を行っており、現在全国約2,900店舗において17万人以上のクルーが働き、毎年のべ13億人以上のお客様にご来店いただいています。日本のみならず、世界最大級の外食企業として、マクドナルドは世界中の社会的課題や環境問題に取り組み、マクドナルドを支えてくださっている皆様にお返しする責任があると考えています。実際に、創業者レイ・クロックが掲げた”We Give Back to Our Community”という理念、すなわち、「お世話になっているコミュニティーへ恩返しをしよう」という想いをCSR活動の重要な一つと位置付けて取り組んでいます。
   そして、事業活動を進めるに伴い発生する企業の社会的責任に対して、あらゆるステークホルダーの声を聞きながら、誠実で最適な行動を取るよう努めています。
   SDGsとの関連では、マクドナルドでは、特に「Food」・「Communities」・「Planet」・「People」の4つの柱に注力していきます。お客様や従業員をはじめ、世界中のステークホルダーがマクドナルドに期待する社会的、環境的活動の共通項を洗い出し、SDGsの考え方を取り入れながら、ビジネスとの関連性を考慮して優先順位を付けています。

いつも支えてくださっている
地域の皆様への恩返し
【目標3・17関係】

   当社では、病気と闘う子供とそのご家族のための滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」の支援を約20年前から実施しています。“HOME AWAY FROM HOME(我が家のようにくつろげる第二の家)”をコンセプトにご自宅から遠い病院に入院して病気と闘うお子様のご家族を支えるための滞在施設で、現在日本には11のハウスがあり、1泊1,000円で滞在できます。
   さらに、地域コミュニティーとのパートナーシップによる社会貢献活動としては、地域のフランチャイジーオーナーに活躍してもらい、地域に根付いた次のような取組も行っています。

取組の紹介
安全笛の配布
   地域の警察や小学校と協力し、お子様の安全をサポートすることを目的として、毎年全国の新小学1年生に安全笛を配布しています。この取組は、2003年に地域のフランチャイジー、県警とコミュニティーの発案から始まり、全国に広がった活動で、これまでにのべ約1,134万個の安全笛を配布しています。

学童野球のサポート
   お子様の心と身体の健全な育成を支援するために、「小学生の甲子園」とも呼ばれる「高円宮賜杯 全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」を30年以上サポートしています。大会協賛だけでなく、全国の学童球児たちの憧れともいわれる「マクドナルドワッペン」の寄贈や、44万人の選手へのオリジナルブックレット(プレイヤーブック2021)をプレゼントしています。そして、都道府県代表チームを応援するため、SNS配信や店内デジタルサイネージでご紹介など、地域に密着した支援活動を実施しています。

産学官連携した人材育成
   鹿児島大学・農林水産省と連携して作成した食品安全専門人材の育成プログラムにおいて、当社からは講師を派遣して、国際標準の衛生管理手法であるHACCPなどをもとに独自に構成したグローバル基準のサプライヤー品質マネジメントシステム、英語による衛生管理教育、インターンシップ(大学院生のみ)などを組み込み、食品安全専門人材の育成支援を行っています。

人の育成が企業の成長をつくる
【目標8関係】

ハンバーガー大学のコース例
ハンバーガー大学のコース例(入社時)

   外食産業の有効求人倍率はサービス業全体の中でも極めて高く、少子高齢化による働き手の確保は外食業界全体の課題となっています。また、働き手が職場に求める価値観も、ワーク・ライフ・バランスの充実、業務を通じた成長の機会、社会の抱える課題のソリューションの担い手として働ける職場等、多様化し、ソーシャル・センシビリティの高い方が増えてきました。こうした働き手の価値観の変化に対応して、さまざまな働き方をサポートする制度の充実や働きがい・やりがいを感じながら働くことができる雇用環境の提供が必要不可欠です。
   そこで当社では、「企業の成長を支えるものは『人』そのもの」であるという創業時からの考えを具体化した取組の一つ、「ハンバーガー大学」という社内教育機関を日本第一号店の開店よりも前に設けて、人材育成に取り組んでいます。ハンバーガー大学は、SDGsのターゲット8-3の「雇用創出」やターゲット8-5の「若者や障害者を含む全ての人々の働きがいのある雇用の促進」とも関連しており、人とのコミュニケーション、リーダーシップのとり方など、社会人としての基礎知識を教える専門教育機関として、あらゆる職位の従業員の必要に応じた教育プログラムや研修、ツールを提供しています。2020年にはオンラインで講義を開講し、約10,000人の従業員がハンバーガー大学で学びました。これまでに約330万人が、ハンバーガー大学が作成した教材や講義で学んでいます。

地球のことを考えて行動するという企業の環境理念
【目標12・15関係】

おもちゃ再生プロセス
おもちゃの再生プロセス

   当社では、環境配慮は事業活動を行う企業の社会的責任と考えて、廃棄物対策・環境保全の取組を実施しています。例えば、店舗での商品調理を作り置き生産から、オーダーメイド方式の「メイド・フォー・ユー」システムに切り替えたことで、お客様にできたてのおいしさを提供するとともに、完成品の廃棄率を導入前と比較してほぼ半減しました。(「食品産業もったいない大賞 農林水産省食料産業局長賞」を2017年に受賞。)

   この他にも、ハッピーセットに付いているプラスチックのおもちゃを全国の店頭で回収し、トレイとしてリサイクルする、「マックでおもちゃリサイクル」プロジェクトを2018年から実施しています。資源が少ない日本において、この「マックでおもちゃリサイクル」プロジェクトは、ものを大切にする心や環境への意識を醸成する機会になるとして、お客様や従業員などからも好評をいただいています。
   また、生物多様性と生態系の保全、そして持続的な利用のための取組として、お客様用紙製容器包装類はFSC®認証済み資材を使用しています。また、店舗で使用している「トレイマット」もFSC®認証紙を使用しています。

SDGsに取り組んで良かったこと

   SDGsには経済・社会・環境にまたがるあらゆる課題が包括的に網羅され、世界共通の普遍的な目標が定められています。そのため弊社が進めている取組についてステークホルダーとコミュニケーションを取るための国際的な共通言語としてだけでなく、グローバルなCSRの枠組みに取り組む際の考え方の整理にも非常に有益であると考えています。
   最近まで、CSR活動はフィランソロフィー(奉仕的活動)として実施していたため、その活動にかかる費用や時間がコストとして捉えられ、企業の目的である利潤追求とは、財務的に相反するものと考えられていました。しかし、SDGsの考え方を導入したことにより、短期的にはコストとみなされるCSR活動も、継続的に取り組むことでお客様の満足度・ロイヤリティー、ブランドイメージが向上して、長期的には当社のビジネスの成長につながることが明確になってきました。このような意味で、SDGsと連動した取り組みをすることで、(1)お客様、(2)社会・環境、(3)ビジネスにおいてwin-win-winの関係が成り立つと考えています。
   例えば、「マックでおもちゃリサイクル」プロジェクトでは、プラスチックのおもちゃの廃棄率を削減して環境負荷を減らすとともに、「子供の気持ちを大切にしながら、上手におもちゃとお別れさせたい。ものを大切にする心を育みたい。」というお母様たちの思いに応えることを通じてお客様の満足度・ロイヤリティーの向上に繋がり、当社のビジネスにもメリットとなって戻ってきます。実際に、多くのお客様がこの「マックでおもちゃリサイクル」プロジェクトに賛同してくださり、2020年は年間約270万個のおもちゃを回収し、目的来店の増加にもつながっていることが明らかになっています。

今後に向けて

   当社で行っているCSR活動をさらに充実させるために、従業員にその意義・必要性を理解してもらい、従業員を巻き込んで組織全体として取り組んでいくことが今後の課題と考えています。
   そのために、従業員にとって身近に感じられる「マックでおもちゃリサイクル」プロジェクトや「ドナルド・マクドナルド・ハウス」への寄付するための「マックハッピーデー」チャリティーキャンペーンという募金活動などの取組を引き続き実施することで、何のために活動を行うのか、SDGsとは何かということについて、理解を深めてもらいたいと考えています。

日本マクドナルド株式会社の皆様、
インタビューのご協力ありがとうございました。
※インタビューで扱った内容は
企業が取り組むSDGsの一部です。

お問合せ先

大臣官房 新事業・食品産業部 企画グループ

代表:03-3502-8111(内線4139)
ダイヤルイン:03-6744-2065